先日アメリカ出身で現在スペイン1部リーグのCDレガネス所属のプロサッカー選手
井手ウィリアム航輔選手にインタビューさせて頂く機会がありました!
同じカリフォルニア州出身でドイツでのプレー経験もある井手選手とは共通点が多く、
話に共感できる部分が多々ありました。
現在海外留学している、もしくはこれから海外留学を目指す方にとって井手選手の経験や感じたことが少しでも参考になればと思います。
井手選手のこれまでと今後のキャリアについてインタビューをおこなったので3回に分けて記事をHPに掲載していきたいと思います。
~~アメリカ時代~~
Q. いつからいつまでアメリカで過ごしたのですか?
「アメリカで生まれて生後6カ月で一度日本に帰国しました。そこから6歳までは日本で
生活し、その後ドイツに3年間住みました。アメリカに戻ったのは9歳からでそこから18歳までカリフォルニア州のアーバインで生活していました」
Q. MLS(アメリカ一部リーグ)所属している LA Galaxy の下部組織でプレーした経緯と
当時の様子はどんな感じでしたか?
「アーバインのローカルチームでプレーしていた際に、LA Galaxy のトライアウトに招待されたのがきっかけです。40人くらいの選手がトライアウトに集められ、僕も含めてその中の20人が合格となりました。ただ年を経ていくうちチームの人数がどんどん増え、最終的に僕がLA Galaxy を退団するときには35人くらいの大所帯になっていました。試合に呼ばれるのは18人で選手交代3枠を含めても試合に出られるのは最大14名までなのでサバイバル感がすごかったです。アピールしないと試合に呼ばれないので。そんな状況でしたのでチームメイトにはメキシコ人選手が多かったのですが、全体的に個人技主体のチームで正直やりにくさはありました」
Q. LA Galaxy の下部組織はトップチームに毎年何名くらいの選手輩出しているんですか?
「僕が入団した2011年から現時点で僕が知る限り1名だけですね。しかもその選手も契約
自体はトップチームと結んでいますが、試合は2軍のチームで出場してるのが現状です」
Q. 下部組織の役割はトップチームへの選手供給が主な目的の一つになると思いますが、
そういう観点からみると LA Galaxyの下部組織はあまり機能していないですね。なんで」トップチームに上がる選手がいないんでしょうか?
「うーん、明確な答えは僕にはわかりませんが、LA Galaxy がチームとして確固たる
スタイルを持っていないことが要因の一つとしてあるのかもしれません。例えば欧州の
チームであれば長い歴史を経て、チームのスタイルを確立しているチームが多いです。
そうすると下部組織ではそのチームのスタイルや哲学を落とし込んでいきます。下部組織
からトップチームに選手が上がったときにそのチームのスタイルを熟知しているということは他のクラブから移籍してくる選手と比較して大きなアドバンテージとなります。なので
チームに明確なスタイルや哲学がないということは下部組織出身の選手からしたら難しい
状況になります。LA Galaxyは資金力があるので即戦力の選手を別のチームから引っ張ってくることができますので。そういう環境だと下部組織出身の若手選手にはなかなかチャンスが回ってきません」
Q. LA Galaxy を退団した経緯を教えてください
「2011年から在籍していましたが、2015年にチームから解雇されてしまいました。理由は周りのチームメイトとうまくできなかったことだと思います。同世代のU-16チームではなく、飛び級でU-18チームでプレーしていた時期もありームメイトからのあまり良く思われなかったのかもしれません。U-18チームでプレーしていたときは全く問題なく出来ていたのですが残念でした」
Q. アンダー世代のアメリカ代表候補でもプレーしていた時期もあったんですよね?
「はい、LA Galaxy の下部組織に所属しているときに召集されました。LA Galaxy の
練習場のすぐ近くで代表チームのキャンプが行われていたので、チームの練習にいったら
監督から代表チームのキャンプに参加するように当日指示されたこともありました」
Q. アメリカ代表のキャンプはどうでしたか?
「とても楽しかったです!クリスチャン・プリシッチ(チェルシー F.C所属),
ハジ・ライト(VVV-フェンロ所属), ルカ・デ・ラ・トレ(フラム F.C所属)など錚々たるメンバーが揃っていて、一緒にプレーしてとてもやりやすかったです。彼らはテクニックや身体能力などの個人技は当然のことながら優れていましたが、視野が広くたくさんのプレーの選択肢をもっていました」
Q. 2017年にドイツに渡ることになりますが経緯を教えてください
「アメリカの複数の大学から奨学金をもらえるスポーツ特待生オファーがありましたが、
プロになれる可能性が高いヨーロッパへの挑戦を選びました。たまたま知り合いの方が
ドイツでエージェントをしていたので、最初はその方にお世話になりました。個人的には
アメリカの大学にはプロサッカー選手だけを目指していくのではなく、しっかりと勉強して専門知識を身に着ける意識をもっていくべきだと思っています。もちろん、大学卒業と同時にドラフトに引っ掛かり、プロサッカー選手になるいうのが一番理想ですが」
Q. ドイツ留学費用はご両親からのご支援があったのですか?
「いいえ、費用は全て自分でアルバイトをして貯めました。両親は元々僕のヨーロッパ
サッカー留学には反対で僕にアメリカの大学に行って欲しいという考えだったので。両親にはオリンピックに出場できなかったら選手を引退してアメリカの大学に行くという条件でなんとか納得してもらいましたが、費用は出させられないと思ったので、必死にお金を貯めました。具体的にはサッカーのコーチ、家庭教師、お寿司屋さん、居酒屋さんなどで働き、
最終的には6,000ドルほど貯めることができました」
Q. 18歳でご両親のご支援を一切受けずに単身でヨーロッパにいったんですね。
それだけで井出選手の覚悟を感じます。
「はい、プロサッカー選手になり、オリンピックに出場するという目標を果たすために
必死でした」
<Part 2 に続く>
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